4次関数の対称性

4次関数の対称性について考察する. まずは,基本事項を復習する. \(4\)次関数
$$ y=f(x), \hspace{20pt} f(x)=ax^4+bx^3+cx^2+dx+e \hspace{10pt}(a\ne0) $$
複接線を持つための必要十分条件 は, $$ 3b^2-8ac>0 $$ が成り立つことであり , 複接線定理 から, 複接線の傾きは, \(f^{\prime\prime\prime}(\gamma)=0\)を満たす\(\gamma\)を用いて, $$ f'(\gamma) $$ と書けるのであった. また, 異なる\(2\)つの接点を \( \left(\alpha,f(\alpha)\right) ,\ \left(\beta,f(\beta)\right) \) とすると, $$ \gamma=\frac{\alpha+\beta}{2} $$ が成り立つのであった.

命題. 上の記号をそのまま用いる. \(4\)次関数\(C:y=f(x)\)は, 複接線\(\ell\)を持つとする. 任意の\(u\)に対して, \(\ell\)と傾きが等しい直線\(\ell_u\): $$ y=\ell_u(x) ,\hspace{20pt} \ell_u(x)=f'(\gamma)x+u $$ を考える. \(C\)と\(\ell_u\)が共有点を持つとき, その共有点と,点 $${\rm{P}}_u(\gamma,\ell_u(\gamma))$$に関して 対称である点も共有点のうちの\(1\)つである.

複接線を持たない\(4\)次関数に対しても, 上と同様に\(f'(\gamma)\)が定義できるので, これを傾きに持つ直線\(\ell_u\)を考えることにより, 上の命題は,複接線を持たない\(4\)次関数に対しても,成り立つ.

以上から, \(4\)次関数が,線対称になるためには, \(f'(\gamma)=0\)が必要十分であることが分かる. \(f'(\gamma)\)を計算することにより次が従う.
命題. \(4\)次関数 $$ f(x)=ax^4+bx^3+cx^2+dx+e \ (a\ne0) $$ に対して, 曲線\(y=f(x)\)が線対称となるための必要十分条件は, $$ b^3-4abc+8a^2d=0 $$ が成り立つことである. またこのとき, \(y=f(x)\)は,直線\(x=-\displaystyle\frac{b}{4a}\)に関して線対称である.


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