不等式の表す領域

座標平面において, \(f(x,y)=0\)によって表される図形とは, \(f(x,y)=0\)を満たす点\((x,y)\)全体のことであった. また,関数\(y=f(x)\)を満たす点\((x,y)\)全体からなる図形を, この関数のグラフと読んでいた. これらはどちらも与えられた等式を満たす点全体を考えており, これによって表される図形は,直線や曲線などの「線」になるのであった( 正確には,点になることや点が存在しないということもある).

ここでは,等式ではなく与えられた不等式を満たす点全体がどのような図形になるのかを考える.このような図形は,一般的には,「線」ではなく「面」になる.

\(x,y\)についての不等式を満たす点\((x,y)\)全体を, その不等式の表す領域という.

不等式の表す領域について, 基本的な次の3つについて証明する.

\(y>f(x),y< f(x)\)の表す領域

関数\(y=f(x)\)は,曲線(または直線)を表すとする.このとき
  • \(y>f(x)\)の表す領域は,曲線(または直線)\(y=f(x)\)の上側の部分であり,
  • \(y< f(x)\)の表す領域は,曲線(または直線)\(y=f(x)\)の下側の部分である.

直線\(x=a\)によって分けられる領域

直線\(\ell:x=a\)に対して,次が成り立つ.
  • \(x >a\)の表す領域は,直線\(\ell\)の右側の部分であり,
  • \(x < a\)の表す領域は,直線\(\ell\)の左側の部分である.

円\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\)によって分けられる領域

円\(C:(x-a)^2+(y-b)^2=r^2\)に対して,次が成り立つ.
  • \((x-a)^2+(y-b)^2>r^2\)の表す領域は,円\(C\)の外部であり,
  • \((x-a)^2+(y-b)^2< r^2\)の表す領域は,円\(C\)の内部である.



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