事象の定義と集合との対応

同じ条件下で繰り返し行うことのできる実験や観察などのことを 試行といい, 試行によって,起こる結果のことを事象という.

ある試行において, 起こり得る全ての事象を合わせて その試行の全事象といい, 1つだけの結果からなる事象のことを 根元事象という.

ある試行において, 次のように事象と集合とを対応させて考えることができる.
全事象\(U\) $$\longleftrightarrow$$ 全体集合\(U\)
ある事象\(A\) $$\longleftrightarrow$$ \(U\)のある部分集合\(A\)
根元事象 $$\longleftrightarrow$$ 1つの要素からなる集合
この対応により,ある試行においての事象\(A\)の起こる場合の数を求めるには, 対応する集合\(A\)の要素の数を求めれば良いことがわかる. すなわち,次が成り立つ.
事象\(A\) $$\longleftrightarrow$$ 集合\(A\)
事象\(A\)の起こる場合の数 $$\longleftrightarrow$$ 集合\(A\)の要素の数\(n(A)\)
次に積事象,和事象,余事象を定義する.
ある試行における2つの事象\(A, B\)に対して,
  • 「\(A\)と\(B\)がともに起こる」という事象を \(A\)と\(B\)の積事象という.
  • 「\(A\)または\(B\)が起こる」という事象を \(A\)と\(B\)の和事象という.
  • 「\(A\)が起こらない」という事象を \(A\)の余事象という.
これらの事象は,次のように集合と対応させることができる.
\(A\)と\(B\)の積事象 $$\longleftrightarrow$$ \(A\)と\(B\)の共通部分\(A\cap B\)
\(A\)と\(B\)の和事象 $$\longleftrightarrow$$ \(A\)と\(B\)の和集合\(A\cup B\)
\(A\)の余事象 $$\longleftrightarrow$$ \(A\)の補集合\(\overline{A}\)

確率の問題を考えるときは, このように事象と集合を同一視して考えるのが基本的である.


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