原始関数と不定積分

定義. 関数\(f(x)\)に対して, 微分すると\(f(x)\)になる関数,すなわち $$ F'(x)=f(x) $$ となる関数\(F(x)\)を, \(f(x)\)の 原始関数という.

\(F(x)\)を\(f(x)\)の原始関数とすると, 定数\(C\)に対して, 関数 $$ F(x)+C $$ も\(f(x)\)の原始関数である. よって, 関数\(f(x)\)の 原始関数が存在する場合には, 無限に多くの原始関数が存在する. 逆に,同じ関数の原始関数の差は必ず定数である. なぜならば, \(F(x), G(x)\)がどちらも, \(f(x)\)の原始関数であるとすると, $$ \{F(x)-G(x)\}’ =f(x)-f(x) =0 $$ が成り立つからである.
連続関数\(f(x)\)の原始関数は必ず存在することが知られているので, 以下では連続関数のみを考えることにする.

連続関数\(f(x)\)の原始関数の1つを\(F(x)\)とすると, \(f(x)\)の任意の原始関数は, 定数\(C\)に対して, $$ F(x)+C $$ の形で表されるのであった.
関数\(f(x)\)の原始関数を\(F(x)\)とする. このとき, $$ F(x)+C $$ の形で表される関数を(全てをまとめて) \(f(x)\)の 不定積分といい, 記号 $$ \int f(x) dx $$ で表す. 不定積分\(\displaystyle\int f(x)\, dx\)を求めることを 積分するといい, 定数\(C\)を積分定数という.

注意. 本来,不定積分は連続関数とは限らない 関数に対して, 原始関数とは関係ないものとして定義される. しかし,連続関数に対しては, 不定積分が原始関数と一致する (微分積分学の基本定理)ことが示されるので, 上のように定義しても問題はない. 加えて, 上では連続関数の原始関数が必ず存在すると述べたが, 本来であれば, これも 連続関数の不定積分が必ず存在する(積分可能である)ことと, 微分積分学の基本定理から導かれる事実である.

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