Newtonの流率論(Principia第二巻第二部補助定理Ⅱ)

ニュートンにおいて,微分の概念は「流率」(fluxion)として出現する. この理論が固まったのは,1666年頃だと言われているが, 流率というものが初めて公表されたのは, 1687年出版の 「自然哲学の数学的原理」(Principia mathematica philosophiae naturalis) と呼ばれる書物だった. 以下,これを「プリンキピア」と呼ぶ.

プリンキピア第二巻第二部の補助定理Ⅱでは,

  • 運動あるいは流動して絶えず増加または減少している量を, 生成量(genitum)
  • 生成量の瞬間的な増減のことを モーメント(momentum)

と呼び,次のような事が述べられている.

任意の生成量 A,Bのモーメントをa,bとするとき, 長方形の面積ABのモーメントは,aB+bAである.


これは,現代の言葉で述べると, 合成関数の積の微分に対応している. つまり,

tの関数A:=A(t), B:=B(t)の 導関数をそれぞれ,a:=A'(t), b:=B'(t)をとする. この時,ABすなわち,A(t)B(t)の導関数は, aB+bAすなわち,A'(t)B(t)+B'(t)A(t)である.

という事を述べている. そして,補助定理Ⅱの後の命題8において,

  • 生成量のことを流量(fluens)
  • モーメントのことを流率(fluxio)

と呼ぶ事が述べられている.
ここでは, (原典の正確な写しではなく,かなり要約した形ではあるが,) この補助定理Ⅱの証明を紹介する.


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この記事は, [中村1980][河辺1979] を参考にさせていただいています.