定義.
曲線上の点が限りなく遠ざかるにつれて,
曲線がある一定の直線に近づくとき,
この直線を曲線の漸近線という.
まずは,この定義を正確に記述しよう. 実数全体の集合を\(\mathbb{R}\)として, \(I\subset\mathbb{R}\)を区間とする. 座標平面上の媒介変数表示された曲線 $$ C:\ I\rightarrow\mathbb{R}^2 \ ;\ t\mapsto \left(x(t), y(t)\right) $$ と,直線 $$ \ell:\ ax+by+c=0 $$ を考える. 座標平面\(\mathbb{R}^2\)における, 曲線\(C\)上の点\((x(t), y(t))\)と 直線\(\ell\)との距離を $$ d(t)=\frac{|ax(t)+by(t)+c|}{\sqrt{a^2+b^2}} $$ とおく. このとき,漸近線の定義は次のように述べられる.
定義.
直線\(\ell\)が,曲線\(C\)の
漸近線であるとは,
\(\alpha\in I\)(\(\alpha=\pm\infty\)でも良い.)
に対して,
$$
\lim_{t\to\alpha}\left\{(x(t))^2+(y(t))^2\right\}=\infty
,\hspace{20pt}
\lim_{t\to\alpha}d(t)=0
$$
が成り立つときをいう.
この定義から導かれる命題をいくつか証明する.
命題.
- \(\displaystyle\lim_{x\to\infty}\{x^2+(f(x))^2\}=\infty\)を満たす 曲線\(y=f(x)\)において, \begin{equation} \lim_{x\to\infty} \{f(x)-(ax+c))\}=0 \end{equation} が成り立つとき, 直線\(y=ax+c\)は曲線\(y=f(x)\)の漸近線である.
- \(\displaystyle\lim_{x\to-\infty}\{x^2+(f(x))^2\}=\infty\)を満たす 曲線\(y=f(x)\)において, \begin{equation} \lim_{x\to-\infty} \{f(x)-(ax+c))\}=0 \end{equation} が成り立つとき, 直線\(y=ax+c\)は曲線\(y=f(x)\)の漸近線である.
-
曲線\(y=f(x)\)のグラフにおいて,
\begin{equation} \lim_{x\to\infty} f(x)=c \hspace{10pt} \mbox{または,} \hspace{10pt} \lim_{x\to-\infty} f(x)=c \end{equation}が成り立つとき, 直線\(y=c\)は曲線\(y=f(x)\)の漸近線である.
-
曲線\(y=f(x)\)のグラフにおいて,
\begin{equation} \lim_{x\to c+0}f(x)=\infty, \hspace{7pt} \lim_{x\to c+0}f(x)=-\infty, \hspace{7pt} \lim_{x\to c-0}f(x)=\infty, \hspace{7pt} \lim_{x\to c-0}f(x)=-\infty \end{equation}のいずれかが成り立つとき, 直線\(x=c\)は曲線\(y=f(x)\)の漸近線である.