円の方程式

座標平面上に円を描く. 円は

定点(中心)からの距離(半径)が等しい点の集まり

であったので, 中心と半径を決めれば,円は1つに決まることがわかる. また,円の方程式も 上の円の定義から導かれる.

円の方程式(基本形)

中心が\((a,b)\)で,半径が\(r\)である円の方程式は, $$ (x-a)^2+(y-b)^2=r^2 $$ である.特に,中心が原点である円の方程式は, \( x^2+y^2=r^2 \) となる.


中心と半径を決めなくても, 通る3点を決めれば,円は1つに決まることがわかる. すなわち通る3点が決まっていれば, それらを通る円の方程式が決定できるはずである. このような場合にも対応できるように, 円の方程式の一般形を考えよう.

上で求めた円の方程式(基本形)の形から, \(x^2\)と\(y^2\)の項の係数は\(1\)としてよく, さらに,\(xy\)の項や\(3\)次以上の項が現れないこともわかる. このことをふまえて, 円の方程式(一般形)の候補として, 次のような方程式を考えることができる. $$ x^2+y^2+lx+my+n=0 $$ どのような\((l,m,n)\)の組に対しても, この方程式が円を表すのかを確認しなければならない. そのために,\(x\)と\(y\)に対して平方完成を行うことで, 次のように上の式を変形する.
$$ \left(x+\frac{l}{2}\right)^2 +\left(y+\frac{m}{2}\right)^2 =\left(\frac{\sqrt{l^2+m^2-4n}}{2}\right)^2 $$
基本形と比較し, 半径\(r\)にあたる部分\(\displaystyle\frac{\sqrt{l^2+m^2-4n}}{2}\) は正の数でなければならないことがわかる. よって,この式が円を表すためには, \(l^2+m^2-4n>0\)となることが必要であり, 逆にこれを満たす\((l,m,n)\)の組に対しては, この式は, 中心\(\left(-\displaystyle\frac{l}{2},-\displaystyle\frac{m}{2}\right)\) ,半径\(\displaystyle\frac{\sqrt{l^2+m^2-4n}}{2}\) の円を表すことがわかる. 以上のことをまとめておこう.

円の方程式(一般形)

$$ x^2+y^2+lx+my+n=0 \hspace{10pt} (l^2+m^2-4n>0) $$


通る点が2つしかわかっていない場合は,円は1つに決まらないが, その2点が円の直径であるという条件が付加されれば, 円は1つに決まる.このような場合について考えてみよう.

2点\({\rm{A,B}}\)を直径とする円の方程式を求めたいする. (もちろん\({\rm{A,B}}\)の座標はわかっているとする.) \({\rm{A,B}}\)の中点を\({\rm{M}}\)とすると, 点\({\rm{M}}\)は,求める円の中心であり, 半径は\({\rm{AM=BM}}\)なので,基本形を用いて簡単に円の方程式を導くことができる.

しかし,次では少し違う視点からこの問題を考えてることによって, 次の方程式が得られることを証明する.

2点\({\rm{A}}(x_1,y_1)\),\({\rm{B}}(x_2,y_2)\)を直径とする円の方程式は, $$ (x-x_1)(x-x_2)+(y-y_1)(y-y_2)=0 $$ である.



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