表現される関手(\(\rm{Hom}\)関手)

\(C\)を圏とする. \(C\)の対象\(A,B\)に対して, \(A\)から\(B\)への射\(A\to B\)全体の集合を \({\rm{Hom}}_C(A,B)\)で表す. 圏\(C\)の逆転圏を\(C^{\rm{op}}\)で表す. 集合全体のなす圏を\({\bf{Set}}\)で表す. 次のようにして, 圏\(C\)から圏\({\bf{Set}}\)への2つの関手が定まる. 命題. \(C\)を圏とし, \(A\)を\(C\)の対象とする.
  • \(C\)の対象\(X\)に対し, \(h_A(X)={\rm{Hom}}_C(X,A)\) とおき, \(C\)の射\(f:X\to Y\)に対し,
    $$ h_A(f):h_A(Y)={\rm{Hom}}_C(Y,A)\to h_A(X)={\rm{Hom}}_C(X,A) \ ;\ g\mapsto g\circ f $$
    とおく. このとき, 反変関手\(h_A:C^{\rm{op}}\to{\bf{Set}}\)が定まる.
  • \(C\)の対象\(X\)に対し, \(h^A(X)={\rm{Hom}}_C(A,X)\) とおき, \(C\)の射\(f:X\to Y\)に対し,
    $$ h^A(f):h^A(X)={\rm{Hom}}_C(A,X)\to h^A(Y)={\rm{Hom}}_C(A,Y) \ ;\ g\mapsto f\circ g $$
    とおく. このとき, 共変関手\(h^A:C\to{\bf{Set}}\)が定まる.

定義. \(C\)を圏,\(A\)を\(C\)の対象とする. 上の命題で定まる 2つの関手 $$ h_A:C^{\rm{op}}\to{\bf{Set}}, $$ $$ h^A:C\to{\bf{Set}} $$ を, \(A\)によって表現される関手という.


命題の証明はこちら
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この記事は, [斎藤2020] を参考にさせていただいています.