加重重心

三角形の重心を, (厳密ではないが)重さ的にバランスのとれる点として定義したとき, 三角形の加重重心とは, 各頂点におもりを置いたときの重心の位置ということができる. もちろん同じ三角形でも置くおもりの重さによって加重重心の位置は変わる.

ここでは,ベクトルを用いて加重重心を考察する. 以下の仮定の点\({\rm{P}}\)が加重重心である.

仮定. \(a,b,c>0\)とする. \(\bigtriangleup\rm{ABC}\)の内部の点\(\rm{P}\)が $$ a\overrightarrow{\rm{PA}} +b\overrightarrow{\rm{PB}} +c\overrightarrow{\rm{PC}} =\overrightarrow{0} $$ を満たしていると仮定する.



まずは, 感覚的に加重重心が捉えやすいであろう結果を紹介する.

仮定の状況において, \(\bigtriangleup\rm{PBC},\bigtriangleup\rm{PCA},\bigtriangleup\rm{PAB}\) の面積比は, \(a:b:c\)である.



次に辺の比や加重重心の座標に関する2つの結果を紹介する.

仮定の状況において, それぞれの線分の内分点に対して, 下図のように比が定まる.

注意. たくさんの線分の比をいつの図にまとめたので, ややこしくなってしまったが,
例えば, 図の通り, \({\rm{AF}}:{\rm{FB}}\) は, \(b:a\) であるが, \({\rm{EC}}:{\rm{CD}}\) は, \(a:b\) ではない. 上で「線分の内分点」と付け加えたのは,このような意味である.


仮定の状況において, 3点\({\rm{A,B,C}}\)の座標をそれぞれ, \((a_1,a_2), (b_1,b_2), (c_1,c_2)\)とする. このとき, 点\({\rm{P}}\)の座標は, $$\left( \displaystyle\frac{aa_1+bb_1+cc_1}{a+b+c}, \displaystyle\frac{aa_2+bb_2+cc_2}{a+b+c} \right)$$ である.

それぞれの証明は, 位置ベクトルの内分点の公式を知っていれば難しい事はない.


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