次の最小値を求めよ.
最小値と言われると微分したくなるが,
それよりも,
平面上の2点
{\rm{A}}(a_1,a_2),{\rm{B}}(b_1,b_2)の距離の公式が
{\rm{AB}}=\sqrt{(a_1-b_1)^2+(a_2-b_2)^2}
という形をしていたことを思い出すと,
F(x)の一部がこの公式の形をしていることに気づくだろう.
結果的に,この問題は,平面上の3点を
{\rm{P}}(x,0),{\rm{A}}(3,1),{\rm{B}}(1,-2)
としたとき,
{\rm{AB}}の距離を求める問題に帰着される.
F(x)=\sqrt{x^2-6x+10}+\sqrt{x^2-2x+5}\hspace{5pt}(x\in\mathbb{R})

j=1,2に対して,
f_j(x)=x^2+b_jx+c_jとする.
このとき,次の最小値を求めよ.
\sqrt{f_1(x)}+\sqrt{f_2(x)}\hspace{5pt}(x\in\mathbb{R})
ただし,f_j(x)の判別式D_j=b_j^2-4c_jの値は共に0以下であるとする.
判別式の値が正であれば,\sqrt{f_j(x)}が複素数となるxが存在する.
複素数に大小関係はないので,この仮定は問題の一般化を考える上で正当である.
結論を述べると,j=1,2に対して, 二次方程式f_j(x)=0の(虚数)解のうち, 虚部の値が正のものをそれぞれ \alpha_jとすると, 求める最小値は, \mid\alpha_1-\overline{\alpha_2}\mid と書ける.
実数xに対して, \sqrt{f_1(x)}+\sqrt{f_2(x)}の最小値が, 2つの二次方程式f_j(x)=0の虚数解 の距離として,記述できるというのは, 驚くべき事実である. これは幾何的には,虚数解を三次元 (y軸,実軸{\rm{Re}}(x),虚軸{\rm{Im}}(x) を用いて記述することで明らかとなるが, 詳細については, √2次式と虚数解の関係 で解説する.