整式の割り算と分数式

除法の原理から, \(A(x),B(x)\)を\(0\)でない整式とすると, $$ A(x)=B(x)Q(x)+R(x) $$ を満たす整式\(Q(x),R(x)\)が一意的に存在する (ただし,\(R(x)\)は\(0\)であるか \(B(x)\)の次数より次数が低い整式) ので, この整式\(Q(x)\)と\(R(x)\)をそれぞれ, \(A(x)\)を\(B(x)\)で割ったときの余りと 定義できる.

しかし, ここで定義した商は, 整式全体の集合の中での割り算の結果という意味であることに 注意しなければならない.

例えば, 整数全体の集合の中であれば,\(7\div3\)の商は\(2\),余りは\(1\)であるが, 有理数全体の集合においては,\(7\div3\)の商は\(\frac{7}{3}\)である. 有理数が,\(\frac{\mbox{整数}}{\mbox{整数}}\) のような,分数の形で表せる数であったのと同じように, 分数式や有理式というものを次のように定義できる.
  • \(A(x)\)を整式,\(B(x)\)を次数が正の整式 とするとき, \(\displaystyle\frac{A(x)}{B(x)}\)の形の式を 分数式という.
  • 整式と分数式を合わせて, 有理式という.


分数式についても,分数と同じように約分が定義できる. これにより,矛盾なく四則演算が定義でき, 有理式全体の集合においては, \(A(x)\div B(x)\)の商は, $$\frac{A(x)}{B(x)}$$ となる.
このようなことを具体例を用いて説明する.


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