「1.数列の極限(ε-N論法)定義と基本極限」で学んだように, 数列の収束は,厳密に次のように定義されるのであった.
数列\(\{a_n\}_{n=1}^\infty\)において,
任意の正数\(\varepsilon\)に対して,
ある自然数\(N\)が存在して,
$$
n > N
\mbox{ である全ての}n\mbox{に対して,}
\mid a_n-\alpha\mid<\varepsilon
$$
が成り立つ
とき,
\(\alpha\)を
数列\(\{a_n\}\)の極限値
といい,
\(\alpha=\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n\)
と表す.
またこのとき,
数列\(\{a_n\}\)は,\(\alpha\)に
収束する
ともいう.
この厳密な定義に基づいて, 次の数列の極限と四則演算に互換性があるという 基本的性質を証明する.
ある実数\(\alpha,\beta\)に対して, \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha, \displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=\beta\) が成り立つとする. このとき, $$\displaystyle\lim_{n\to\infty}(ka_n+lb_n)=k\alpha+l\beta$$ $$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_nb_n=\alpha\beta$$ $$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{a_n}{b_n}=\frac{\alpha}{\beta}$$ が成り立つ. ただし,\(k,l\)は定数であり, 3つ目の公式については,\(\beta\ne0\)を仮定する.
この記事は, [黒田2018] を参考にさせていただいています.