高校数学において,数列の極限は, 「限りなく近づくとき⋯」のような曖昧な表現を使って 定義されるのであった. これを厳密に定義すると次のようになる:
数列\(\{a_n\}_{n=1}^\infty\)において,
任意の正数\(\varepsilon\)に対して,
ある自然数\(N\)が存在して,
また数列が発散する場合は,
次のように定義される.
$$
n > N
\mbox{ である全ての}n\mbox{に対して,}
\mid a_n-\alpha\mid<\varepsilon
$$
が成り立つ
とき,
\(\alpha\)を
数列\(\{a_n\}\)の極限値
といい,
\(\alpha=\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n\)
と表す.
またこのとき,
数列\(\{a_n\}\)は,\(\alpha\)に
収束する
ともいう.
数列\(\{a_n\}_{n=1}^\infty\)において,
-
任意の実数\(K > 0\)に対して,
ある自然数\(N\)が存在して,
$$ n > N \mbox{ である全ての}n\mbox{に対して,} a_n > K $$が成り立つ とき, {数列\(\{a_n\}\)は正の無限大に発散する といい, \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\infty\) と表す.
-
任意の実数\(K<0\)に対して,
ある自然数\(N\)が存在して,
$$ n > N \mbox{ である全ての}n\mbox{に対して,} a_n < K $$が成り立つ とき, 数列\(\{a_n\}\)は負の無限大に発散する といい, \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=-\infty\) と表す.
- 収束せず, 正の無限大にも, 負の無限大にも発散しないとき, 数列\(\{a_n\}\)は振動する という.
この記事では, 数列\(\{a_n\}\)において, \(\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha\) や, \(\lim_{n\to\infty}a_n=\infty\) などを定義し, 次の基本極限を証明する.
\(k > 0\)のとき,次が成り立つ.
\(\lim_{n\to\infty}n^k=\infty\)
\(\lim_{n\to\infty}\displaystyle\frac{1}{n^k}=0\)
この記事は, [黒田2018] を参考にさせていただいています.