数列の極限(\(\varepsilon-N\)論法)四則演算

数列の極限 で扱った内容について, \(\varepsilon-N\)論法を用いた 厳密な議論を紹介する.

  1. 数列の極限(ε-N論法)定義と基本極限
  2. 数列の極限(ε-N論法)四則演算 (この記事)

  3. 数列の極限(ε-N論法)はさみうちの原理


「1.数列の極限(ε-N論法)定義と基本極限」で学んだように, 数列の収束は,厳密に次のように定義されるのであった.
数列\(\{a_n\}_{n=1}^\infty\)において, 任意の正数\(\varepsilon\)に対して, ある自然数\(N\)が存在して,
$$ n > N \mbox{ である全ての}n\mbox{に対して,} \mid a_n-\alpha\mid<\varepsilon $$
が成り立つ とき, \(\alpha\)を 数列\(\{a_n\}\)の極限値 といい, \(\alpha=\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n\) と表す. またこのとき, 数列\(\{a_n\}\)は,\(\alpha\)に 収束する ともいう.


この厳密な定義に基づいて, 次の数列の極限と四則演算に互換性があるという 基本的性質を証明する.

ある実数\(\alpha,\beta\)に対して, \(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_n=\alpha, \displaystyle\lim_{n\to\infty}b_n=\beta\) が成り立つとする. このとき, $$\displaystyle\lim_{n\to\infty}(ka_n+lb_n)=k\alpha+l\beta$$ $$\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_nb_n=\alpha\beta$$ $$\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{a_n}{b_n}=\frac{\alpha}{\beta}$$ が成り立つ. ただし,\(k,l\)は定数であり, 3つ目の公式については,\(\beta\ne0\)を仮定する.




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この記事は, [黒田2018] を参考にさせていただいています.