この記事では, 関数\(f(x)\)において, \(\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=\alpha\) を定義し, 関数の極限と四則演算に互換性があることを証明する.
高校数学において,関数の極限は, 「限りなく近づくとき\(\cdots\)」のような曖昧な表現を使って 定義されるのであった. これを厳密に定義すると次のようになる:
関数\(f(x)\)において, 任意の正数\(\varepsilon\)に対して, ある正数\(\delta\)が存在して,
$$ 0<\mid x-a\mid<\delta \mbox{ である全ての}x\mbox{に対して,} \mid f(x)-\alpha\mid<\varepsilon $$
が成り立つ とき, \(\alpha\)を \(x\to a\)のときの関数\(f(x)\)の極限値 といい, \(\alpha=\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)\) と表す.
この厳密な定義に基づいて, 次の関数の極限の基本的性質を証明する.
ある実数\(\alpha,\beta\)に対して, \(\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=\alpha, \displaystyle\lim_{x\to a}g(x)=\beta\) が成り立つとする. このとき, $$\displaystyle\lim_{x\to a}\{kf(x)+lg(x)\}=k\alpha+l\beta$$ $$\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)g(x)=\alpha\beta$$ $$\displaystyle\lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}=\frac{\alpha}{\beta}$$ が成り立つ. ただし,\(k,l\)は定数であり, 3つ目の公式については,\(\beta\ne0\)を仮定する.
この記事は, [黒田2018] を参考にさせていただいています.