関数の極限(\(\varepsilon-\delta\)論法)定義と四則演算その1

関数の極限 で扱った内容について, \(\varepsilon-\delta\)論法を用いた 厳密な議論を紹介する.

  1. 関数の極限(ε-δ論法)定義と四則演算その1 (この記事)

  2. 関数の極限(ε-δ論法)定義と四則演算その2
  3. 関数の極限(ε-δ論法)はさみうちの原理
  4. 関数の極限(ε-δ論法)片側極限


この記事では, 関数\(f(x)\)において, \(\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=\alpha\) を定義し, 関数の極限と四則演算に互換性があることを証明する.


高校数学において,関数の極限は, 「限りなく近づくとき\(\cdots\)」のような曖昧な表現を使って 定義されるのであった. これを厳密に定義すると次のようになる:

関数\(f(x)\)において, 任意の正数\(\varepsilon\)に対して, ある正数\(\delta\)が存在して,

$$ 0<\mid x-a\mid<\delta \mbox{ である全ての}x\mbox{に対して,} \mid f(x)-\alpha\mid<\varepsilon $$

が成り立つ とき, \(\alpha\)を \(x\to a\)のときの関数\(f(x)\)の極限値 といい, \(\alpha=\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)\) と表す.



この厳密な定義に基づいて, 次の関数の極限の基本的性質を証明する.

ある実数\(\alpha,\beta\)に対して, \(\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)=\alpha, \displaystyle\lim_{x\to a}g(x)=\beta\) が成り立つとする. このとき, $$\displaystyle\lim_{x\to a}\{kf(x)+lg(x)\}=k\alpha+l\beta$$ $$\displaystyle\lim_{x\to a}f(x)g(x)=\alpha\beta$$ $$\displaystyle\lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}=\frac{\alpha}{\beta}$$ が成り立つ. ただし,\(k,l\)は定数であり, 3つ目の公式については,\(\beta\ne0\)を仮定する.




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この記事は, [黒田2018] を参考にさせていただいています.